近年、X(旧Twitter)の海外での人気が低下しているという声が聞かれるようになりました。日本国内では根強い支持がある一方で、海外特に欧米市場では多くのユーザーが他のプラットフォームに移行していると言われています。
イーロン・マスク氏による買収以降、多くの改革が進められているにもかかわらず、なぜ海外では人気が下がっているのでしょうか?
この記事では、その原因となる背景や現状、今後の展望について詳しく解説していきます。
世界的なXのユーザー数の減少
Xの人気が低下する最大の要因として、ユーザー数の減少が挙げられます。米国市場では、2023年から2024年にかけて、Xの利用率が27%から19%へと約30%も減少したと報告されています。
これは12歳以上の米国人を対象とした調査で明らかになっており、特に若年層での利用が減少している点が指摘されています。
ユーザー離れの背景にある原因
ユーザー数が減少している背景には、いくつかの具体的な理由があります。
- インフラや操作性の変化
イーロン・マスク氏による買収以降、Xのインターフェースやアルゴリズムに多くの変更が加えられました。これにより、これまで慣れ親しんだ操作感が損なわれ、一部ユーザーが「使いにくい」と感じるようになっています。 - 他のSNSプラットフォームへの移行
ユーザーの多くは、FacebookやInstagram、TikTokといった他のプラットフォームにもアカウントを持っています。Xから他のプラットフォームへ簡単に移行できるため、操作やユーザー体験が合わないと感じたユーザーが離れてしまう結果となっています。 - 実名化を求められる他SNSとの違い
実名制を推進する他のSNSに対し、Xは匿名性が確保されていますが、匿名性ゆえのトラブルも増えており、ユーザーが敬遠する傾向も見られます。
若年層が離れている理由
特にZ世代やミレニアル世代がXを利用しなくなっていると言われています。
新しい世代のユーザーにとっては、動画メインのプラットフォームや短期間で話題を提供する他のSNSのほうが魅力的と映りやすく、Xの長文ツイートや政治的な投稿が主流の内容は好まれにくい傾向にあるのです。
広告主の撤退
Xの収益構造に大きな影響を及ぼしているのが、広告主の撤退です。マスク氏によるXの買収後、反ユダヤ主義的な投稿や過激な内容が目立つようになり、一部の広告主が懸念を表明しました。
この結果、ディズニーやアップルなどの大手企業が広告出稿を停止したことで、Xの広告収益は著しく減少しました。
広告主が撤退する理由
広告主がXから撤退する原因には、以下のような背景があります。
- ブランドのイメージリスク
広告主にとっては、自社の広告が過激なコンテンツや差別的な発言と並ぶリスクが増しています。Xの一部の投稿が企業ブランドに悪影響を与えると考えられるため、広告出稿を見送る企業が増加しています。 - 費用対効果の低下
Xのユーザー離れが進むとともに、広告がターゲットユーザーに届きにくくなり、広告費用に対する効果が低下しています。これにより、同じ費用をかけるなら他のSNSプラットフォームの方が広告効果が高いと判断する企業も増えているのです。 - 広告運用ポリシーの不安定さ
イーロン・マスク氏が買収後に広告運用に関するポリシーを大幅に変更したことも影響しています。突然のルール変更が相次ぎ、広告出稿の安定性に対する懸念が強まりました。
広告収益の低下が与える影響
広告収益の低下は、Xのプラットフォーム運営に直接的な影響を与えています。
広告収入が減少することで、新しい機能の開発や既存機能の改善が遅れ、ユーザーにとって魅力的なプラットフォームであるためのリソースが不足しがちです。
広告主の撤退が続くことで、Xの発展が阻害される可能性もあるため、長期的な影響が懸念されます。
SNSの競争の激化
Xがかつて持っていた独自性が薄れる一方で、他のSNSプラットフォームとの競争はますます激化しています。
特にFacebook、Instagram、TikTokなどが提供する新しい機能やサービスによって、多くのユーザーがそれらのプラットフォームへと移行し始めています。
他のSNSの強みとXの弱点
他のプラットフォームは、ユーザーエンゲージメントを高めるために様々な工夫を施しています。
- Facebook/Instagramのリール機能
動画メインのリール機能は、若年層に特に人気です。ユーザーが短時間で手軽にコンテンツを楽しめるため、Xの長文テキスト投稿に比べて圧倒的な魅力があります。 - TikTokの爆発的な成長
動画コンテンツの短さやエンタメ要素に特化したTikTokは、ユーザーの興味を引き付ける力が強く、世界中で急成長を遂げています。 - ThreadsやMastodonなどの台頭
Xの代替プラットフォームとして登場したThreadsやMastodonなども人気を集めており、ユーザーが多様な選択肢を持つことになっています。Xの独占的な地位は失われつつあり、競争が激化しています。
Xが抱える課題
Xは現在、他のプラットフォームに比べてユーザーを引き留めるための新しい戦略や魅力的な機能を提供する面で遅れを取っています。
特に若年層のニーズに応えることが課題とされており、このままではシェアを取り戻すことが困難であると考えられています。
機能変更による混乱
イーロン・マスク氏が買収後に進めたXの機能改革が、ユーザー体験に混乱をもたらしているとも言われています。
APIの制限や有料化の導入は、特に一般ユーザーに大きな影響を与え、ユーザーが他のSNSへと流出する原因となりました。
APIの制限と有料化がもたらす影響
APIの制限や一部機能の有料化によって、多くのユーザーや開発者がXに対して不満を抱くようになっています。
- API制限による機能の制約
APIの利用が制限されたことで、外部アプリとの連携が難しくなり、便利だったサードパーティーアプリの使用が制限されました。この制約がユーザー体験を損なう結果となっています。 - 有料化による不公平感
一部の機能が有料となったことで、「無料で使えるSNS」というXのイメージが損なわれました。多くのユーザーが料金を支払うことに抵抗を感じ、他の無料SNSへの移行を検討するようになっています。
ユーザー体験への影響
これらの機能改革により、長年Xを利用してきたユーザーでも「使いにくくなった」「利便性が低下した」と感じる人が増えています。このため、ユーザー満足度が低下し、他のSNSプラットフォームへの流出が加速しているのです。
今後の展望
Xが海外市場での人気を取り戻すためには、現状の課題に対処し、ユーザーが求めるニーズに応える新たな戦略が必要です。今後の展望として、以下のような改善が求められます。
- 透明性の向上
度重なる機能変更や広告ポリシーの変更により、Xの安定性や信頼性が揺らいでいます。ユーザーや広告主にとって安心できる環境を提供するために、運営方針の透明性を確保することが重要です。 - 競合他社との差別化
他のSNSとの差別化を図るため、独自の機能やサービスを打ち出すことが必要です。特に動画コンテンツやライブ配信など、今のSNSトレンドを反映した機能の導入が期待されます。 - 広告主との関係改善
広告主との信頼関係を再構築し、ブランドに安心して出稿できる環境を整えることが求められます。広告収入が安定することで、さらにユーザーのための機能向上が図れるでしょう。
まとめ
X(旧Twitter)が海外で人気を失いつつある背景には、ユーザー数の減少、広告主の撤退、他のSNSプラットフォームとの競争激化、機能変更による混乱といった要因が絡み合っています。
このような課題に対して適切な対策を講じ、再びユーザーや広告主から支持されるプラットフォームとなるためには、今後の運営戦略が重要な鍵を握っていると言えるでしょう。