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草壁シトヒ
ブロガー
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『Twitter』はなぜ『X』に変わった?金融サービスからAIまで、マスク氏の描く壮大な計画

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2023年7月、世界中の誰もが知っていた青い鳥のアイコンは、突如として「X」という一つの文字に姿を変えました。私がこのニュースに触れたとき、単なるブランドイメージの変更ではない、何か巨大な変革の始まりだと直感しました。この変更は、イーロン・マスク氏がTwitterを買収して以来進めてきた、一連の改革の集大成です。

今回の記事では、なぜTwitterがXへと名前を変えたのか、その背景にあるマスク氏の壮大な計画を徹底的に解説します。金融サービスからAIの統合まで、Xが目指す「すべてを網羅するアプリ」の未来像に迫ります。

タップできる目次

なぜTwitterはブランドを捨てたのか?3つの戦略的理由

多くの人が慣れ親しんだ「Twitter」という名前を捨てるという決断は、非常に大きな賭けです。しかし、そこには計算され尽くした3つの戦略的な理由が存在します。

理由1|「短文投稿SNS」という限界からの脱却

最大の理由は、「Twitter」というブランドが持つ強力なイメージからの脱却です。青い鳥のロゴや「ツイート(さえずり)」という言葉は、どうしても「140文字の短文を投稿するSNS」というイメージを人々に植え付けます。

マスク氏が目指しているのは、単なるSNSではありません。動画配信、ショッピング、さらには個人資産の管理まで行える「スーパーアプリ」です。この壮大な構想を実現する上で、「Twitter」という名前は足かせになっていました。全く新しいプラットフォームを作るためには、過去のイメージを一度リセットする必要があったといえます。

理由2|マスク氏のビジョンを象徴する「X」への統一

では、なぜ新しい名前が「X」だったのでしょうか。これは、マスク氏のキャリアを振り返ると非常に納得のいく選択です。彼は1999年にオンライン金融サービスの会社「X.com」を立ち上げ、これが後のPayPalの母体となりました。

彼の最も有名な事業である宇宙開発企業も「SpaceX」です。「X」という文字は、マスク氏にとって未知への挑戦や未来の可能性を象ेंす特別なシンボルです。TwitterをXとすることで、彼が手掛ける事業全体のブランドイメージを統一し、壮大なビジョンにおける最後のピースをはめ込む狙いがあります。

理由3|過去のイメージを刷新する「制御された解体」

マスク氏による買収後、プラットフォームの方針は目まぐるしく変わりました。これに対して、多くのユーザーは「Twitterは変わってしまった」という不満や戸惑いを抱えていました。

そこで、あえて名称そのものを変えることで、「これはもうTwitterではない。Xという全く新しいアプリなのだ」という認識をユーザーに促すことができます。これは、過去のブランドとの連続性を意図的に断ち切り、未来に向けた議論の土台を作り直すための、強力な心理的戦略です。

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「すべてを網羅するアプリ」へ|Xが目指す未来の姿

Xへの改名は、壮大な「すべてを網羅するアプリ(Everything App)」構想の始まりに過ぎません。これは、私たちのデジタルライフのあらゆる側面を、一つのアプリで完結させることを目指す計画です。

モデルは中国の「WeChat」

私が考えるに、Xが目指す姿の最も分かりやすい手本は、中国の巨大アプリ「WeChat(微信)」です。WeChatは、単なるメッセージアプリとして始まりましたが、今ではSNS機能、決済、公共料金の支払い、行政手続きまで、中国の社会インフラとして機能しています。

マスク氏の野望は、このWeChatの成功モデルを西側世界で初めて大規模に実現することです。巨大なユーザー基盤を持つSNSを土台に、決済などの高頻度で利用されるサービスを統合し、ユーザーをXのエコシステム内に留める戦略です。

構想の3本柱|金融・コミュニケーション・AI

Xのスーパーアプリ構想は、主に3つの柱で構成されています。

金融サービス「X Money」

構想の心臓部となるのが、金融サービス「X Money」です。個人間での送金やアプリ内での商品購入はもちろん、将来的には株式投資などもX上で行えるようにすることを目指しています。決済大手のVisaと提携し、信頼性の高い決済ネットワークを構築している点は、この構想が本気であることの証です。

高度なコミュニケーション機能「XChat」

現在のダイレクトメッセージ(DM)機能は、より高機能な「XChat」へと進化する予定です。メッセージの暗号化やPDFなどのファイル共有機能が実装され、他の専門的なメッセージングアプリと遜色ないレベルのコミュニケーションツールになるでしょう。

AIの統合「Grok」

マスク氏が率いるAI企業「xAI」が開発した対話型AI「Grok」は、すでにXの有料プラン加入者向けに提供されています。X上の膨大な公開データを学習したGrokが、ユーザー体験を向上させることで、プラットフォーム全体の価値を高める狙いがあります。

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Xになって何が変わった?Twitterとの具体的な違い

ブランド名だけでなく、プラットフォームの機能やルールも大きく変わりました。ここでは、Twitter時代と現在のXの具体的な違いを見ていきます。

ユーザー体験の変化

日々の使い勝手に関わる部分で、多くの変更が加えられています。

用語の変更|ツイートからポストへ

最も象徴的な変更は、用語の刷新です。「ツイート」は「ポスト」に、「リツイート」は「リポスト」に変わりました。これは、Twitter時代に形成された独自の文化を意図的に解体し、新しいプラットフォームとしてのアイデンティティを確立するための戦略です。

機能の追加と変更|長文投稿や通話機能

かつてTwitterを定義づけていた文字数制限は、有料ユーザー向けに事実上撤廃され、長文の投稿も簡単になりました。さらに、アプリ内で音声通話やビデオ通話もできるようになり、Xは単なるSNSから包括的なコミュニケーションツールへと進化を遂げています。

アルゴリズムと利用規約の変更

目に見えない部分でも、重要な変更が行われています。

コンテンツ表示の仕組み

タイムラインに表示されるコンテンツを決めるアルゴリズムは、動画コンテンツを優遇するよう調整されました。単なる「いいね」の数よりも、ユーザーの閲覧時間といった「質」の高いエンゲージメントを重視する仕組みに変わっています。これにより、ユーザーの滞在時間を最大化する戦略が見て取れます。

AI学習へのデータ利用

利用規約も大幅に改訂され、ユーザーが公開した投稿を、X社や提携企業のAIモデルの学習に利用することが明記されました。私たちの投稿は、単なるコミュニケーションの手段から、AIを育てるための価値ある資産へとその役割を変えたといえます。

機能・ポリシーTwitter時代の状態X時代の状態
コア用語「ツイート」「リツイート」「ポスト」「リポスト」
文字数制限全ユーザーに280文字の制限有料ユーザーは事実上撤廃
APIアクセス研究者向けに無料アクセスを提供非常に高額な有料プランのみ
データ利用明示的な規定は限定的AIモデルの学習に利用することを明記
認証システム著名性に基づく「認証バッジ」月額料金で誰でも取得可能

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まとめ|Xの挑戦はデジタル社会の未来を占う壮大な実験

TwitterからXへの変革は、イーロン・マスク氏の類稀なビジョンによって推進される、デジタルプラットフォームの未来を占う壮大な社会実験です。その核心は、広告収入への依存から脱却し、決済手数料やサブスクリプションを収益の柱とする、新しいビジネスモデルを確立することにあります。

この挑戦が成功すれば、Xは他のプラットフォームが追随する新たな道を切り開くでしょう。もし失敗すれば、確立されたビジネスモデルを変えることの難しさを示す教訓となります。Xの歩みは、今後のソーシャルメディアのあり方、そして私たちのデジタル社会の未来を定義する上で、極めて重要なケーススタディとなることは間違いありません。

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